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土橋朱里先生インタビュー『イチャイチャしようよ、クマ系彼氏くん。』

『イチャイチャしようよ、クマ系彼氏くん。』は、
身長差カップルが織りなす恋愛物語が中心の作品です。
共感しやすく思わず作中に引き込まれる本作へのこだわりについて、
土橋先生に根掘り葉掘りお聞きしました!

――今回のインタビュアーは担当編集のTです。
まずはじめに、土橋さんの今までのご経歴を教えてください!

もともとは普通にOLをしていたんですが、
働きながら趣味として同人活動を始めました。
同人活動を続けているうちに、
「ティーンズラブを書きませんか」というスカウトのメールをいただいて。
ちょっと悩んだんですけど、最終的にはお受けすることに決めて、今に至ります。

実は結構長い間、OLと同人活動と商業活動を同時にやっていたんです。
ただ、三十路手前ぐらいで体を壊して、「これはもう無理だ」と思って。
職場に「すみません、実は漫画を描いています」
「もうそっちに絞りたいので辞めさせていただいてもよろしいでしょうか」と勇気を出して言いました。

でも、「今辞められたら困る」ということで、すぐには辞められませんでした。
2年かかっちゃったんです。
けどなんとか辞めて、やっと専業漫画家になれました。

――2年間という長い時間がかかっても、
漫画家になるという決意は揺らがなかったんですね。
ちなみに、絵を描きはじめたり漫画家を目指したりするうえで、
影響を受けた作品はあるんでしょうか?

もういっぱい、いっぱいありますけど、
とくに影響を受けたのは『セーラームーン』です。

今でも当時のことをすごく鮮明に覚えてるんですけど、
小学校低学年くらいのときに、お母さんが『セーラームーン』の写し絵を買ってきてくれて。
キャラクター絵の見本の上に薄いトレーシングペーパーみたいなのを敷いて、
その上から線をなぞって、自分でお絵描きするみたいな玩具なんですけど。
それを学校の休み時間にずーっとやっていたんですよね。
それで、「あっ、私絵描けるかも」って思っちゃったんです。

本当に今思えば、『セーラームーン』が絵を描きはじめたきっかけですね、きっと。
私は四人兄弟でマンガがいっぱい家にある環境だったので、
少女漫画も少年漫画もたくさん読んでいました。
でも、一番最初に衝撃を受けた作品を挙げるならやっぱり『セーラームーン』です。

――続いては本作についての質問です。
本作はTL作品としては唯一無二のテーマを描かれているなと常々感じています。
イチャイチャ要素もある一方で、普通はTLで扱わないシリアスな問題も取り上げていますが、
こうした部分にはなにかこだわりがあるのでしょうか?

本作は、「身近にあることをそのまま漫画にする」というコンセプトで描いています。
読者のみなさんがなるべく共感してくださるような作品にしたいので。
だから、社会派の漫画を描きたいわけではないんですが、
自然と実際の事件とか現実で起きた出来事がストーリーに絡んできやすいんです。

本作は連載初期から「臨場感のあるイチャイチャ」を描くように意識しています。
イメージとしては読者のみなさんが壁になってカップルを覗いてるような、
登場人物の部屋を覗き見しているようなリアル感のあるイチャイチャ描写です。
本作以前はあまり意識していませんでしたが、
情緒的なラブシーンみたいなものをもう一段回踏み込んで、より深く描けたらいいなと。

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実はそもそも恋愛描写っていうか、ときめきを感じるストーリー作りの才能がないんですよ(笑)。
イチャイチャしたりラブラブしたりするシーンをいっぱい描けたらいいんですけど、
あんまり思いつかなくて。
ラブラブ以外の身近な生活のお話の方がサクサク考えられるので、
結果的にそっちのストーリーを思いつく方が多いですね。
だから逆に、ラブラブシーンが少なくなりすぎないように、
ちゃんとセーブしなきゃなって思っています。

――身近な出来事を組み込むことで、
ストーリーの現実味が増しているんですね。
ちなみに、好きなエピソードや描いていて楽しかったシーンはありますか?

2話の、ベッドの上で恭也が里奈に対してお叱りモードになっているシーンです。
恭也が甚平で、里奈が某ジェラピケみたいなもこもこパジャマを着ているところ(笑)。

也が「里奈は他人を信用しすぎ」って言って静かに切れているシーンなんですけど。
恭也の表情を「これ、裏でなんかあるな」っていう意味深な感じが出るようにうまく描けたので、
自分では満足しています。

読者の皆さんが好きなシーンとずれてたら嫌だな(笑)。

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――ありがとうございます。
続いても本作についての質問ですが、とくに好きなキャラがいれば教えてください。

本作の登場人物には割とみんな愛着がありますね。
ただ、こんなに好きになると思わなかったという意味で言えば、竈お兄ちゃんです。
竃お兄ちゃんはすごく描きやすいんですよね、なぜか。
自分に似ているからかもしれませんが、どういうふうに作ったキャラなのかもう思い出せない(笑)。

竈お兄ちゃんについては、一話丸々使って深掘りするストーリーが描けたので、とても愛着が湧いたのかな。
本来、このエピソードは8ページくらいでダイジェストのように軽く流す予定だったんです。
でも、ありがたいことにガッツリ描けることになったので、「これはちゃんと描かなきゃいかんぞ」と。
一本の読み切り作品だと思って、気合いを入れて描いたのを覚えています。

読者さんの反応は詳しく知らないので未だに不安なんですけど(笑)。

――過去編は編集部でも涙を流す人が続出していて、
私もお気に入りのストーリーです!
まだ内容を知らない読者さんにはぜひ読んでもらいたいですね。
ところで、本作を描くうえで苦労した点はあるんでしょうか?

本作の制作については、それほど苦労しているという実感はありません。
どちらかというと、アシスタントさんの方が苦労してると思うんですよね(笑)。
いつもイメージ通りの素晴らしい背景を描いていただいているので、感謝しかないです。

たとえば、祐也の部屋。
寝てる部屋から玄関が見える様子とか、物があまりなくて空っぽで狭そうな感じとか。
まさに学生の部屋、という雰囲気を再現してくれています。

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――ありがとうございます。
本作はストーリーだけでなくキャラクターも魅力的ですが、
キャラクターの作画におけるこだわりはあるんでしょうか?

キャラクターの作画については、画面内のバランスが崩れないようにするのがこだわりポイントです。

とくに恭也と里奈が一緒の画面にいると身長差がすごいので、
別の生き物みたいにならないように気をつけています(笑)。
「ちょっと恭也がデカすぎない? これ」とか「あれ? でもこれ里奈小さすぎるなあ」とか
ちょくちょくあって難しいんですよね。

顔のバランスも、パッと並べたときに違和感がないようにしなきゃと思っていて。
基本的に登場人物の顔については、骨格のバランスをみんな統一するように描いています。
でも、里奈に関しては可愛く描こうとしすぎて、どんどんこう……顎が削れていったりして(笑)。
だんだん見た目の年齢が下がっていっている気がするので、ちょっとそこは気をつけたいところですね。

あと、祐也については、中身に引っ張られてどんどん背が縮んでいるかも(笑)。
正統派のイケメンのつもりで描いていて、背もそんなに低くないイメージだったんですけどね。
もう縮まないように注意しないとなぁって。

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――次は仕事以外についての質問です。
時には作品作りで行き詰まることもあると思いますが、
そんなときはどんなことをして気分転換していますか?
また、休日の過ごし方についてもぜひ教えてください。

本作では制作に行き詰る感じはそんなに無いかな。
本作の性質上、ストーリーが割と最初から最後まで決まっている感じなので、
お話作りに苦労することも少ないです。

休日に関しては、しっかり休みをとってどこかに出かけるようなことは少ないですね。
でも、体調悪くしたときは仕事をすべて投げ出して、
観たかったドラマとか映画とか積極的に観るようにしています。
「インプットの時間だ」って(笑)。
こういう休息日は月1ぐらいで作るようにしています。

今観ている作品だと、『最愛』っていうドラマが脚本も演出も面白くてお気に入りです。
終わり方によっては後々伝説になる作品だと思うので、
みなさんにもぜひ観ていただきたい(笑)。

――ありがとうございます。
本作やTL作品以外のことでも構わないのですが、
今後描いてみたいエピソードや作品はありますか?

本作はほぼクライマックスに近いので、もうあとは走り切るだけです(笑)。
本作以外で言えば、読み切り作品を勉強したいなと思っています。

私はスカウトされてそのまま連載をスタートしたので、
人生で読み切り作品をあまり描いたことがないんですよね。
なので最近「ちゃんと描けるようになりたいな」と思って、色々勉強しはじめているところです。
ジャンルとかはあまり気にしないで、積極的に読み切り作品に挑戦したいなと思っています。

――それでは、最後に読者さんにメッセージをお願いいたします。

いつも読んでくださってありがとうございます。
もうクライマックスかつ辛い展開が続きますけど、
なんとかめげずについてきていただけたら嬉しいです。

あとファンレターをいただけたらもっと嬉しいです(笑)。
私は読者レビューを読んでいないので、
ファンレターでしか読者さんの声を知る機会がありません。
なので、いただけたら本棚に大切に飾って、毎日拝みます(笑)。

土橋先生、ご自身の経歴から共感を生む作品作りのコツまで
お話いただきありがとうございました!
クライマックスに向けてさらに盛り上がっていく本作から、一瞬たりとも目が離せません。
まだ読んでいないという方は、ぜひ最終回公開までに一気読みして
追いついてみてはいかがでしょうか。

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